国道352号 樹海ライン【新潟ツーリング】
驚愕!国内屈指の秘境酷道
旬は今!修行ロードの感動絶景へ
秘境”と“絶景”は一見親和性の高いワードながら、それが両立するスポットは案外見つけ難いもの。
しかし、この奥只見は国内屈指の秘境地帯ながら、感動の大展望がルート上から望める、とっておきの絶景ロードなのだ。
しかし、周辺はまさに屈指の大秘境。この国道352号“珠海ライン”のルート様相も国内屈指の酷道だ。
全線狭路の上、ブラインドコーナーの連続。
まぁ、酷道マニアにとっては堪らないに違いないが、初心者ライダーにとっては少々過酷な旅となるかもしれない。
枝折峠は越後駒ヶ岳の威容が随所より展望できる。タイトコーナーの連続する酷道ながら、感動・満足感抜群の絶景ロード。一生に一度は走っておきたいルートだ。
休憩スポットとダムカレーで有名な奥只見ダムは、バイク乗り入れ禁止。そもそも、唯一のアクセス路である18kmのトンネルルート“奥只見シルバーライン”が二輪車通行禁止の為、バイクで行きようがないのだ。
そのため食事や休憩スポットは、尾瀬入口の御池ロッジと奥只見湖畔にある3件の山荘のみ。綿密かつ無理の無いスケジュールが攻略のコツだろう。
バイクはシルバーライン通行不可の為、枝折峠超えが必須となる。狭く険しく路面は酷い。…が、これでもれっきとした国道なのだ。初心者は覚悟して挑むべし!
そもそもこのルートは、会津と越後の交易ルートとして中世以前より踏み跡はあった古道だが、道路の本格的開削が始まったのは昭和になってから。
奥只見ダムの開発と共にその速度は一気に加速したが、車道としての国道352号が会津方面と繋がったのは昭和47年の事。
人馬道~馬車道~旧線形車道と順を追って整備されてきた、多くの国道ルートとは異なり、車道としては比較的新しいルートだと言える。
樹海ライン前半のハイライトは枝折峠。全線1.5車線の狭路ながら、越後駒ケ岳の展望を随所で望めるダイナミックな山岳ルートだ。
観光車両の多くはシルバーラインへ流れる為、交通量も少ない。特に、秋の紅葉と滝雲の様相は枝折峠が日本一美しくなる時期だろう。
枝折峠を過ぎると、九十九折れの山岳路から一変、湖畔の開けた風景が広がる。ここから樹海ラインは本領を発揮。奥只見湖畔をトレースする屈指の酷道が始まるのだ。
枝折峠のピークを過ぎれば、目前には越後駒ケ岳の雄大な山体が出現!この圧倒的威容と共に、秘境地帯を貫く樹海ラインは爽快そのもの。但し、2車線区間は一瞬だ。
奥只見湖に面した銀山平より東側は、幅の狭い旧線形路が続く。ほぼ1~1.5車線、ダム湖畔のワインディングはまさに現代の修験道だ。福島県の桧枝岐までは約60km。
銀山平より福島県の桧枝岐までは、約60km。何とその殆どが1.5車線の狭路なのである。しかもルート上には無数の洗い越しが。
つまり、路面の随所に“川”があるのだ。コーナー途中にある場所も多く、非常に慎重なライディングを要求される初心者泣かせの道。要注意だ。
しかし、秘境感は抜群。休日は多くの秘境を愛するライダーで賑わう、ある意味“人気”のルートだ。
大自然の中、“洗い越し”という稀有な体験ができる旅路。豪快な水飛沫を飛ばしに行くのも一興だろう。
しかしここは豪雪地帯。雪崩の影響で冬期は通行止め。
この絶景とエクストリームな路面を楽しむのは初夏~晩秋までなのだ。
そう、旬は今!屈指の山岳風景と共に道路界の魔境地へ行こう!
ツーリングスポット
標高1065mの枝折峠は、滝のように流れる幻想的な滝雲が特徴的。昼夜の温度差が激しい日の早朝が最適。条件は厳しいながら、その様相は唯一無二!一生に残る絶景だ。
沿線の銘湯、駒の湯山荘はまさに秘湯の極上湯が楽しめる。湧出量は実に毎分1840l!浴槽内に流れが発生する程、凄まじい量が投入されている。
ランプの宿 駒の湯山荘(冬期閉鎖)
新潟県魚沼市大湯温泉719-1 TEL:090-2560-0305
1泊2食付9950円~ 泉質:アルカリ性単純温泉、32.9℃、1840l/分湧出、完全源泉大量かけ流し、内湯:女性専用1混浴2/露天:混浴2、貸切2 ※日帰り8:00~16:00/500円
ロードデータ
交通量
樹海ロードは意外と観光車両も多く、正面衝突に注意が必要。枝折峠区間の観光車両は少ないがバイクが多くこちらも要注意!信号は皆無ながら狭路の為、十分な注意を。
路面
全線にわたり狭路&荒れた路面が続く修験の道。冬季の凍結の為、補修が追い付かず、特に初夏は穴に注意。洗い越しが点在する為、入水時には十分注意して走行しよう。
転載元URL
■引用:BikeLifeLab
https://www.8190.jp/bikelifelab/road100/niigata/okutadami/
著者プロフィール
執筆・写真:神田英俊
MOTOツーリング誌編集長
内外出版社より偶数隔月で発売中のツーリング専門誌“モトツーリング”の編集長。バイク旅のネタと共に、関連する日本各地の文化を集約したちょっとDEEPなツーリング読本を制作中。知られざる絶景やグルメはもちろん、廃道や道路史・地域の知られざる文化・スポットを発掘しつつ、全国を自ら実地取材!凍結路と
未舗装路が大好物。